機械工学専攻

准教授

村越 道生

機械工学で人と医療を結ぶ

新生児の聴力を調べたい

本研究室では、機械及び聴覚の知識を活かした診断機器を開発することにより、医療への貢献を目指しています。新生児における聴覚疾患の発生割合は1,000人に約1~2人と言われており、聴覚疾患の早期発見及び治療は、言語能力の発達と知識の形成に大きく貢献します。現在新生児に対する聴覚スクリーニングには耳音響放射(otoacoustic emission: OAE)もしくは自動聴性脳幹反応(automated auditory brainstem response: AABR)によって調べられており、高精度で難聴を発見できます。しかしこれらの方法では伝音性や感音性といった難聴の種類の判別は困難です。そこで私たちは、外界から入ってきた音を、受容器のある内耳へと伝える役割を持つ中耳の振動挙動に着目し、音響工学的に中耳の動きやすさを計測することにより、病変の診断を非侵襲に行える装置の開発を行っています。また、この装置を新生児に適用し病変の早期発見に役立てることも目指しています。

新生児中耳動特性計測装置

内耳に隠されたタンパク質モーター

ヒト聴覚における外有毛細胞(OHC)

哺乳類の内耳には12,000個もの外有毛細胞(outer hair cell: OHC)が規則正しく三列に並んでいます。音が鼓膜を介して内耳へと伝わると、この三列のOHCが音信号に同期しながら協調運動することで、我々の聴覚感度を数千から数万倍に増幅しています。このOHCの伸縮運動の駆動源は、細胞側壁に存在するタンパク質モーターであると考えられています。タンパク質モーターは、髪の毛の直径の1000分の1のサイズで伸縮する分子です。本研究室では、このタンパク質モーターの変形メカニズムを解明し、さらに、それを自在に操作し利用する分子技術の開発を目指しています。

Profile

機械工学専攻

准教授

村越 道生

2003年東北大学工学部機械電子工学科卒業,2005年同大学院工学研究科バイオロボティクス専攻修士課程修了,2008年同博士課程修了(博士(工学)).2008年株式会社エー・アンド・デイ.2009年東北大学大学院工学研究科バイオロボティクス専攻助教.2010年豪州クイーンズランド大学小児聴覚科客員研究員兼任.2013年4月から現職.その間,2013~2017年JSTさきがけ研究者(領域「「分子技術と新機能創出」)兼任.聴覚のメカニクスに関する研究,特に新生児聴覚スクリーニング,内耳のモータータンパク質の構造と機能及びその応用研究等に従事.専門分野:機械力学,生体医工学.

学生(受験生)へのメッセージ

私たちの研究室では,聴覚に関する研究に取り組んでいます.聴覚ときいて,比較的皆さんにも身近なものは,学校の健康診断でおこなう聴力検査ではないでしょうか.高さの異なる音を聞き,聞こえたらボタンを押すという検査法です.では,自分でボタンを押せない赤ちゃんの聴力はどのように調べたらよいでしょう?これらが分かれば,早期に適切な治療を行うことが可能となります.私たちは力学的アプローチを中心に,さらにバイオ技術を取り込むことで,聞こえのメカニズムの解明に取り組み,そこで得られた知見をもとに独自の診断技術の開発に挑戦しています.

他の研究者

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