牛乳に超音波を当てるとバターが取り出され、お酒も超音波で変身します
火がついているわけではないのに、「加湿器」から出てくる湯気が見られ、しかも触っても冷たいのを不思議だと感じたことはありませんか? 超音波を当てることで、水を温めずに「霧」に変化させるのが加湿器のメカニズムです。水に限らず液体に超音波を作用させると、特定の成分を分離させたり、霧にして「飛ばす」ことで、加熱せずに香りを濃くしたりできます。日本酒を超音波で霧にすると、焼酎とアルコール度は同じでも味と香りが全く異なる新しいお酒をつくることができます。また、ナノテクノロジー分野の素材をつくる際に、同じスケールのナノ粒子だけを集めるのは大変なのですが、超音波を活用すれば、特定サイズのナノ粒子だけを容易に選別できるようになります。
超音波をあてて結晶を思いのままにつくる
医薬品をつくる時、純度を高めるために、水に溶かした後で冷やして結晶化させます。ところが時々、冷えているのに結晶化が始まらないトラブルがあります。そんな時には超音波を一瞬当てればすぐ解決、無事に結晶ができ、製造を続けられます。また、できる結晶の形や大きさをそろえたい、という思いに応えるのも超音波です。超音波をうまくあてることで、決まったかたちで大きさのそろった結晶を思いのままに得られます。このように、超音波はさまざまな化学の分野に応用可能なのです。